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平成15年11月

田中久重無尽燈

 無尽燈と称する灯火器に関する人物として奥村菅次、田中久重、大隈源助、大野弁吉の4人がいるが、それぞれ機構や、意匠を異にしながら、奇しくも「無尽燈」と名づけ、その相関関係はいまもって謎とすることが多い。
 幕末の頃から「からくり儀衛門」の名で知られていた当時の代表的な発明家である田中久重(1799〜1881)の無尽燈は、19世紀始め頃、オランダからもたらされた気泡(空気銃の一種)の原理を応用したもので、ピストンを上下することで油を灯芯にまで押し上げ、炎が小さくなるとピストンを動かすことで、容易に火力を上げることが出来る仕組みである。
 また、優れた外観と使用材料の美しい質感、更に細やかな部分に見られる金工の技、そして火屋のもつ優美な曲線、それらが一つに溶けあった意匠の冴え。日本のみならず世界の灯火器の中でも超一級品の優美に属するものであろう。
 なお、二代目久重は明治26年工場を三井家に譲り、芝浦製作所と改称する。芝浦製作所は現在の東芝の前身である。

高さ 61cm

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